編集後記
はじめまして。編集委員を務めている下地ローレンス吉孝と申します。第一号創刊を経て,委員の皆様と編集会議で議論を重ねるなかで,第二号は「個から考える多文化共生」というテーマとなりました。
「個人的なことは政治的なこと」という言葉もあるように,多様な背景のある個々人ひとりひとりの生活や経験は,社会が掲げる「多文化共生」と密接に結びついており,とても大切な側面と言えます。
今,日本社会では,これまで比較的安定した在留資格として日本に滞在していた「永住者」の人々に対して,税金の支払いの状況等を理由に資格を取り消しにしようとする深刻な人権侵害の法律を可決させようとしています。そもそも,外国籍や海外ルーツの人々の人権が法律や制度で十分守られておらず,救済措置のための国内人権機関さえも設置されていない日本において,さらに厳しい差別が加速されている状況です。
このような状況の中で,今一度,社会に実際に暮らしている多様な一人ひとりの「声」を聞くことがとても重く,重要であると言えます。
今号で私は特に,石原真衣さんと三木幸美さんと企画や原稿についてお話を進めてきました。研究者として,実践者として,一人ひとりの声を何度も何度も聞いてきたお二人だからこそ,「個から考える多文化共生」のテーマにふさわしい重要なお話を語ってくださいました。
これら一人ひとりの言葉一つ一つから,現在の日本の状況について,社会について,ぜひ一緒に考えて,行動していただけたら嬉しいです!