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2023年度 (第4回)日立財団アジアイノベーションアワード 受賞者

2023年度表彰概要

日立財団アジアイノベーションアワードは、ASEANの社会課題解決と持続可能な社会実現に資する科学技術イノベーションを促進するために、2020年度より開始した表彰事業です。

本アワードでは、持続可能な開発目標(SDGs)への貢献を目的として、あるべき社会像を描き、科学技術の社会実装を計画に入れた優れた研究および研究開発において、画期的な成果をあげ、明らかに公益に供したと思われる個人またはグループを表彰します。

2023年度は、ASEAN6カ国(カンボジア、インドネシア、ラオス、ミャンマー、フィリピン、ベトナム)の27大学および研究機関を対象に、SDGsのゴール1「貧困をなくそう」とゴール7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」のそれぞれ以下のターゲットに貢献する研究および研究開発の成果を募集しました。

1 貧困をなくそう

ゴール1「貧困をなくそう」
ターゲット 1.1極度の貧困を終らせる、1.2貧困状態にある人の割合を半減させる、1.3貧困層・脆弱層の人々を保護する、1.4基礎的サービスへのアクセス、財産の所有・管理の権利、金融サービスや経済的資源の平等な権利を確保する、1.5貧困層・脆弱層の人々の強靭性を構築する、1.b貧困撲滅への投資拡大を支援するために政策的枠組みを構築する

7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに

ゴール7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
ターゲット 7.1エネルギーサービスへの普遍的アクセス確保、7.2再生可能エネルギーの割合拡大、7.3エネルギー効率の改善率を倍増、7.aクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスと投資促進、7.b開発途上国におけるインフラ拡大と技術向上

対象大学・研究機関から推薦による応募を受け付け、書類審査、面接(最優秀賞候補者のみ遠隔で実施)、選考委員会を経て、15名の受賞者を選出しました。

以下に今年度の選考委員会メンバー、選考委員長講評ならびに、受賞者の研究概要と挨拶を紹介いたします。

選考委員※委員長を除き、五十音順

委員長 モンテ・カセム(公立大学法人 国際教養大学 理事長・学長)
河野 泰之(京都大学 副学長(国際戦略担当) 東南アジア地域研究研究所・教授 農学博士)
佐藤 百合(独立行政法人 国際交流基金 理事)
下山 勲(公立大学法人 富山県立大学 学長・東京大学名誉教授 工学博士)
前田 章(国立研究開発法人 科学技術振興機構 未来創造研究開発推進部 運営統括)

選考委員長講評

選考委員長 モンテ・カセム

日立財団アジアイノベーションアワードの選考経過について報告いたします。

日立財団アジアイノベーションアワードはASEANの社会課題解決と持続可能な社会実現に資する科学技術イノベーションを促進するために2020年度から開始した表彰事業です。本アワードでは、持続可能な開発目標(SDGs)への貢献を目的として、あるべき社会像を描き、科学技術の社会実装を計画に入れた優れた研究および研究開発において、画期的な成果をあげ、明らかに公益に供したと思われる個人またはグループを表彰しています。

国連が掲げるSDGsの17のゴールと169のターゲットのうち、毎年2つのゴールといくつかのターゲットを選定し、これらに貢献する研究および研究開発の成果を募集し、自国やASEANのあるべき社会像を描いた、成果の社会実装計画をASEANの大学・研究機関から提出いただいています。

2023年度は、ASEAN6か国(カンボジア、インドネシア、ラオス、ミャンマー、フィリピン、ベトナム)の27の大学・研究機関を対象に、SDGsのゴール1「貧困をなくそう」とゴール7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」のそれぞれ選定されたターゲットに貢献する研究および研究開発の成果を募集しました。

本事業は今年度で4年目を迎えましたが、応募の質が明らかに変わってきたことを感じています。賞の認知度が上がったことにより、この賞の趣旨を十分に理解して応募する研究者が増え、研究内容も貧困救済の側面よりも、工業的、技術的な研究が多く見られるようになりました。また、今年度は、2020年度以来、久々にミャンマーから応募があり、学術・研究開発面で支援できることを大変うれしく思います。

2023年9月から10月に開催された選考委員会では、申請書や学術論文などの添付資料、オンライン面接を総合して評価することに加え、研究開発力の差も考慮して、厳正な審査を行いました。最終的に、合計15件の研究、および研究開発の成果(最優秀賞1件、優秀賞5件、奨励賞9件)を選定し、理事長の承認を得て、合計金額12,500,000円の表彰を決定いたしました。

本表彰が契機となり、受賞者の社会実装計画が実現に向けてより一層加速することを、選考委員一同祈念しております。

最優秀賞

最優秀賞

「温室効果ガス排出ネットゼロを支える電気自動車用リチウムイオン電池材料の性能最適化」

7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
ターゲット
7.2 7.3 7.a
氏名 Anne Zulfia Syahrial Anne Zulfia Syahrial
所属・役職 インドネシア大学
(Professor, Department of Metallurgy and Materials, Faculty of Engineering, Battery Research Laboratory)
インドネシア 国旗:インドネシア
研究テーマ 温室効果ガス排出ネットゼロを支える電気自動車用リチウムイオン電池材料の性能最適化
社会課題 現在、世界は化石燃料の埋蔵量減少に起因するエネルギー危機に直面しています。化石燃料の過剰消費は、資源の枯渇を引き起こすだけでなく、地球温暖化や気候変動の原因となる温室効果ガスの排出増の大きな要因でもあります。温室効果ガス排出ネットゼロ達成に向け、再生可能エネルギーの導入、エネルギー効率化、低炭素燃料の利用拡大など、いくつかの緩和措置が計画されてきました。
研究および
研究開発の
成果
二酸化炭素(CO2)の排出削減策の1つである電気自動車(EV)は、エネルギー密度が高く、サイクル性能に優れた電池を必要とします。これまでのリチウムイオン電池(LiB)技術は、主に電極材料に関するものでした。自動車産業でのEVの発展に伴い、エネルギー密度が高く、サイクル性能に優れた大型電源の実現が求められています。新たな材料を見出し、その構造、組成、特性、性能の関係についての基礎的な理解を深める研究が行われてきました。 チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)は、従来の黒鉛負極に比べてサイクル安定性に優れ、出力密度が高く、安全性が向上した、LiB用の代替負極材料です。シリコン(Si)とスズ(Sn)を添加して合成したLTOは、スピネル結晶構造を示し、構造を変化させることなくリチウムイオンをその結晶格子に挿入できます。私たちの研究では、廃棄されたヤシ殻を原料とする活性炭で最適化しています。
社会実装計画 温室効果ガスの排出を抑制せず化石燃料の使用を増やせば、地球規模の気候変動を引き起こします。エネルギー効率化と再生可能エネルギーの利用拡大は、気候変動の緩和と災害リスクの軽減に貢献します。運輸部門は気候変動の要因の60%を占め、2030年には燃料の燃焼により約5億200万トンのCO2を排出すると予測されています。こうしたカーボン排出は地球環境に有害であるため、主に化石エネルギーを使用する内燃機関自動車(ICEV)を徐々に減らし、バッテリーを電源とするEVに置き換える必要があります。EVの汚染物質排出量は少ないので、大気汚染を最小限に抑える効果があるからです。EVの使用は、カーボン排出ネットゼロを支援します。EVは持続可能で環境に優しく、温室効果ガスの排出を大幅に削減し、運輸部門における持続可能なエネルギー利用を促進する、従来の自動車に代わる有望な選択肢として登場しました。
SDGsへの
貢献
エネルギー供給・変換システムを利用できないと、人類と経済の発展は制限されてしまいます。SDGs の目標7は、誰もが安価でクリーンなエネルギーを利用できるようにして、貧困削減、健康増進、経済成長など、生活の質の向上を実現することを目指しています。将来的にSDGsの目標7を実現できるよう、再生可能エネルギー発電所を建設し、特にEV向けLiBの充電用に人々に手頃な価格で提供すべきです。
活動の様子

  • 特許を取得した際のバッテリー研究チーム


  • LiB用負極・正極の作り方を教える研修


  • バッテリー業界(鉛酸バッテリー)を訪問

受賞コメント 私たちは共に、CO2排出量を削減して温室効果ガスの影響から世界を救い、クリーンで健康的な環境を実現して、次世代の生活をより良いものにします。化石エネルギーを利用する従来の自動車の使用を減らし、電気自動車に乗り換えたり、グリーンエネルギーを使用する公共交通機関を利用することから始めましょう。

優秀賞※氏名アルファベット順

優秀賞

「再生可能エネルギー技術向けエネルギー管理ソリューション」

7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
ターゲット
7.1 7.3 7.a
氏名 Erees Queen Barrido Macabebe Erees Queen Barrido Macabebe
所属・役職 アテネオ・デ・マニラ大学
(Associate Professor, Chairperson, Department of Electronics, Computer, and Communications Engineering)
フィリピン 国旗:フィリピン
研究テーマ 再生可能エネルギー技術向けエネルギー管理ソリューション
社会課題 再生可能エネルギー(RE)技術が人々にとってより身近なものになるなか、家庭用・コミュニティ用のREシステムの出現が見込まれています。REのメリットを最大限に享受するために、生産者と消費者は、エネルギー管理措置を講じる必要があり、自らのシステムが生産するエネルギー量と自分たちが消費するエネルギー量を知る必要があります。
研究および
研究開発の
成果
私たちは監視システムを開発するとともに、人工知能(AI)とモノのインターネット(IoT)を採用して、エネルギーシステムの効率化に貢献し、消費者意識向上のためにデータを提供することで、エネルギーの節約と管理を促し、プロセスの最適化を図ります。私たちの設計考察の中心にあるのは、費用対効果の高い技術です。したがって、私たちのソリューションは、既存の技術よりも手頃な価格で、効率的かつ柔軟でなければなりません。例えば、エネルギー監視システムは、太陽光発電、スマート・ホーム、マイクログリッド・システムなど、さまざまなアプリケーションに使用できます。そのため、既存のエネルギー監視システムよりも汎用性が高く、より幅広いユーザーが利用できます。
社会実装計画 AIを搭載した家庭用エネルギー監視システムを市場に投入するためのスタートアップを設立しました。チームは現在、低コスト化とAI機能の向上に取り組んでいます。
地域のパートナーと連携することで、私たちのソリューションを意図したユーザーに提供することができます。例えば、日陰にある太陽電池モジュールの出力を向上するために、再構成可能アレイについて研究しました。このシステムはコミュニティ・センターに採用されました。また、別のソリューションとして、監視システムを備えた多層式太陽熱乾燥機が、漁業が盛んなコミュニティに設置されました。このような導入事例は、システム設計の改善やプロセスの最適化のために、ユーザーからのフィードバックを得ることを目的としています。
SDGsへの
貢献
社会的影響とSDGs目標7への貢献:
  • エネルギーの監視と管理を通じて、エネルギー効率化と省エネルギーを推進します。
  • 発電システムの最適化を通じてエネルギー効率を改善します。
  • 誰もがエネルギーを利用できるよう、特に地方における再生可能エネルギー技術の採用を奨励します。
活動の様子

  • 島嶼部における太陽光発電マイクログリッド用の遠隔エネルギー監視システムを設置


  • スタートアップ・イベントでのSmarterMeter, Inc 共同創設者の皆さん

受賞コメント 私たちは、AIとIoTを活用したエネルギー技術が一般家庭やコミュニティで利用できるようになり、リアルタイムデータに基づいてエネルギー管理や省エネに関する意思決定が行われるようになる未来を思い描いています。今回の受賞は、私たちのチームが一致団結し、SDGsに向けて大きく貢献していることを証明しています。
優秀賞

「有機廃棄物を活用した環境に優しいバイオマスブリケット(EFBB)の利用」

7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
ターゲット
7.1 7.2 7.3
7.a 7.b
氏名 Kinnaleth Vongchanh Kinnaleth Vongchanh
所属・役職 カンボジア工科大学
(Head of thermal Lab. CEMAT program manager, Department of Industrial and Mechanical Engineering)
カンボジア 国旗:カンボジア
研究テーマ 廃棄物を実用的な代替固形燃料に転換した、環境に優しいバイオマスブリケット(EFBB)の利用
社会課題 2018年、カンボジアでは、バイオマスが最終エネルギー消費量(TFEC)全体の25.5%を占めていました。バイオマスは、家庭や繊維・衣服・履物工場など、住宅用・工業用の両部門で使用されています。一方で、エネルギー源としてのバイオマスの需要が大きいことが、森林破壊の一因となっています。さらに、乾燥した木の葉、おが屑、バガス(サトウキビの搾りかす)、古紙などのバイオマス廃棄物の焼却や処分は、資源の廃棄をもたらし、廃棄物管理の問題を悪化させ、埋立地からの温室効果ガスの排出を増加させます。
研究および
研究開発の
成果
20MJ・kg-1の平均高位発熱量(HHV)が得られ、耐水性(WRI)および耐衝撃性指数(IRI)値も良好だったことから、ブリケットの有用性が実証されました。特に、灰分、固定炭素、揮発分はそれぞれ平均6.9%、17.3%、75.7%でした。エネルギー強度(EI)は21.6GJ・m-3で、原料のそれを大きく上回りました。3〜21分の時間枠で、ブリケットの燃焼速度および温度は、それぞれ28.7g・min-1、12.4g・min-1、407.6℃、414.3℃でした。最初の40分間で、ブリケットは火炎温度、燃焼速度、含水率、固定炭素において薪と同等かそれ以上の値を示し、薪の代替品としての可能性を示唆しました。
社会実装計画 この研究成果が社会にプラスになるよう、今後の研究活動では(温室効果ガス)排出量の測定、大規模生産、繊維工場のボイラーでの環境に優しいバイオベース燃料(EFBB)のテストを行います。これには、持続可能な原材料の探索、連続した製造工程の確立、大規模生産ライン整備に向けた資金確保も含まれます。これらのイニシアチブは、環境の持続可能性、技術革新、さらには繊維産業の経済成長を促進して、社会福祉を向上させることを目的としています。また、燃料の生産および消費に対する責任あるアプローチを提唱することで、近隣諸国への知識移転も促し、その影響を広げ、より広範な地域における啓発と持続可能性への取り組みに貢献しています。
SDGsへの
貢献
カンボジアでは、もみ殻、サトウキビのバガスなど、さまざまな農業廃棄物を利用した、環境に優しいバイオマス・ブリケット(EFBB)の生産が持続可能性を促進しています。EFBBは様々な原料を利用しているため、特定の季節への依存度が低減され、安定した供給を保証できます。高いエネルギー強度と安定した熱分布により、EFBBは効率を高め、運転時間を最小限に抑え、廃棄物を効果的に管理し、カンボジアのクリーンで環境に優しいエネルギー環境へのシフトに貢献しています。
活動の様子


図1. 原料の収集



図2. EFBB 製造工程

受賞コメント エネルギーは国の安全保障にとって非常に重要です。持続可能性とグリーンな環境のために、最も効率的な方法で資源を利用しましょう。
優秀賞

「エタノール生産における高度な非加熱処理技術の活用」

7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
ターゲット 7.b
氏名 Son Ky Chu Son Ky Chu
所属・役職 ハノイ工科大学
(Associate Professor, Ph.D., Department of Food Engineering, School of Chemistry and Life Sciences)
ベトナム 国旗:ベトナム
研究テーマ エタノール産業におけるCO2の排出と製造コストを削減する生産技術の発展
社会課題 エタノールは私たちの日常生活で広く使われています。でんぷん質からエタノールを生成する現在の技術はエネルギーコストが高く、大量のCO2を排出します。したがって、ネットゼロと持続可能性を実現するには、エタノール産業における先進技術とクローズドサイクル式システムの活用が不可欠です。
研究および
研究開発の
成果
ベトナム最大のエタノール工場で、飲料用エタノールを生産する非加熱処理技術の工業規模試験が実施されました。現行技術に比べ、私たちの技術では蒸気使用量を35%、水使用量を8%、CO2排出量を30%、製造コストを7.7%削減できました。
社会実装計画 エタノールの生産に非加熱処理技術を使用すると、3つの工程を1つにできるため設備投資コストが下がり、生産コスト、CO2排出量のほか、水使用量を8%削減できます。したがって、エタノール生産者の利益が増加し、競争力が高まるだけでなく、農家もこの新しい先進技術からより多くの利益を得ることができます。
SDGsへの
貢献
– 非加熱処理技術の活用により、エタノール製造企業はCO2排出量を30%、水使用量を8%削減することができ、2050年までにネットゼロを達成するというベトナム政府の計画を実現することができます。
– 副産物のバロリゼーションがクローズドサイクル式の生産につながり、廃水処理の環境への排出を削減できます。
活動の様子

  • 非加熱技術が使われている小規模アルコール製造工場(1000L/回)で使用されている設備


  • 化学生命科学部の3・4年生を対象にした研究開発および実習、ならびに留学生との(オンラインと対面を組み合わせた)ブレンデッド・ラーニングと交流で使う、パイロット規模(100L/回)の蒸留と組み合わせた非加熱技術の統合システム


  • 非加熱処理技術が工業規模で試験運用されたHanoi Liquor Companyの工場

受賞コメント 途上国で持続可能な開発に向けた技術を向上させるには、責任感、創造力、忍耐力がとても重要です。
優秀賞

「ITS ジャムウ:人類の発展に向けた先住民の科学的知識の転換」

1 貧困をなくそう
ターゲット 1.1
氏名 Sri Fatmawati Sri Fatmawati
所属・役職 スラバヤ工科大学
(S.Si., M.Sc., Ph.D., Department of Chemistry, Faculty of Science and Data Analytics)
インドネシア 国旗:インドネシア
研究テーマ ITS ジャムウ:人類の発展に向けた先住民の科学的知識の転換
社会課題 インドネシアは、特に経済的な制約が医療へのアクセスを妨げている農村部や遠隔地において、貧困層の健康問題に直面しています。こうした地域のコミュニティは、健康をサポートする手段として、ジャムウとして知られるインドネシアの伝統的な医薬品に大きく依存しています。さらに、彼らは生計手段としてジャムウの原料を栽培・販売しています。
研究および
研究開発の
成果
私たちは、ITSジャムウの植物性医薬品、メニテム(Menitemu)の開発に成功しました。その主成分であるメニラン(Phyllanthus niruri)とテムラワク(Curcuma xanthorriza)は、免疫調節剤として強い効果を持ちます。メニテムは免疫系強化に顕著な効果を示しており、正常な細胞の機能を上回ります。HT29細胞を用いた免疫調節剤試験により、メニテムには身体の免疫抵抗力を高める作用があることが確認されています。
全34州のコミュニティからの肯定的なフィードバックに後押しされ、私たちはすでに、インドネシア市場向けに生産を拡大する態勢を整えています。ケルート山に住む人々との協力の下、30カ国以上の科学者や著名な高官に紹介されるなど、国際的な評価も得ています。
社会実装計画 2017年から東ジャワ州ケディリのケルート山の山腹地域で、植物性医薬品の普及に積極的に取り組んでいます。私たちの取り組みは、ケディリのGMP産業とのコネクションづくりに関係していました。ジャムウ業界のPT. Payung Pusaka Mandiriと共同で研究を行い、ジャムウの生産プロセスを強化するために協力しました。地元のハーブ農家を指導し、質の高い原料を正確に選び、同社の研究開発スタッフと協力することで、生産工程全体を改善し、改良点を生産に応用しました。ITSジャムウはこうした協力関係から生まれました。これは、集団の努力から生まれた植物性医薬品のマニフェストです。
SDGsへの
貢献
ITS ジャムウを通じて、私たちは最終的に社会に貢献する様々な産業と連携し、グローバルな発展を促進しています。私たちは、先進的な健康増進製品の製造にとどまらず、コミュニティのエンパワーメント、生物多様性の保全、ジャムウの科学的知識の教育の推進にも注力しています(SDGs目標の 1、2、3、4、6、7、8、9、11、12、13、15)。
活動の様子


東ジャワ州のジャムウ産業界と協力し、全34州で若い世代にジャムウの科学的知識を継承



地滑り防止のため、地元コミュニティを支援し、ケルート山の森林再生に取り組む様子

受賞コメント ITSジャムウを代表して申し上げますと、この賞の受賞は、卓越性の追求を弛まず続け、遠隔地に住む人々に意義ある貢献をするための原動力になります。この賞を受賞したことで、この成果をさらに高める努力を続け、ITSジャムウの使命である「人類の進歩」に積極的に貢献したいという私の情熱がより高まりました。
優秀賞

「ゴマ生産における持続可能なハトマメシストセンチュウ病害対策の開発」

1 貧困をなくそう
ターゲット
1.3 1.5
氏名 Yu Yu Min Yu Yu Min
所属・役職 イエジン農業大学
(Professor, Department of Agricultural Microbiology)
ミャンマー 国旗:ミャンマー
研究テーマ ゴマ生産における、グリーンフード技術を利用した持続可能なハトマメシストセンチュウ病害対策戦略の策定
社会課題 持続可能な農業には持続可能な管理が必要です。ミャンマーでは、小規模農家は化学物質の殺線虫剤を試すことさえできません。ゴマの生産性を向上させ、土壌を健全な状態にし、土壌の化学汚染を低減し、健康的な生活に対する社会の意識を高めるために、シストセンチュウ被害に対する効果的な防除対策が急務です。
研究および
研究開発の
成果
輪作は、ゴマや豆類の生産にとって経済的に重要な害虫であるハトマメセンチュウやネコブセンチュウのような植物寄生センチュウへの対策として重要です。しかし、イネと輪作していないゴマ圃場でシストセンチュウを防除するには、緑肥の利用が重要な対策になります。私たちの観察では、土壌にキマメ、ササゲ、グリーングラム、ブラックグラム、ヒマワリ、マリーゴールドを混ぜて栽培した場合、センチュウ密度が低下することがわかりました。またセンチュウ密度が最も低下したのは、マリーゴールドを2カ月栽培してから組み入れた時でした。
社会実装計画 本研究で開発する対策は、出版物の発行、ステークホルダーへの提言、ネピドーでの実証圃の準備による改良普及員や農家の研修などの手段を通じて、グリーンフード技術の社会的実装につながっていきます。ゴマの収穫期後に緑肥の被覆作物を栽培してシストの孵化を促し、土壌中で飢餓状態に陥らせてセンチュウ密度を低下させることを農家に推奨します。
SDGsへの
貢献
ここで推奨する安価で環境に優しいセンチュウ防除法は、ゴマの収量増と安定生産につながり、ひいては小規模ゴマ農家の安定収入確保につながります(SDGs目標1、ターゲット1.3)。被覆作物の利用は、農地の保全(土壌浸食、保水)に役立ちます(ターゲット1.5)
活動の様子


一部のマメ科作物やマリーゴールドには抑制・刺激効果があります



社会活動



小規模ゴマ農場での実演

受賞コメント 革新的な研究を行うには、土着の知恵を科学的表記に転換することが不可欠です。私たちの社会が質の高い生活を求めるよう刺激を与えることができるのは、革新的な研究だけだからです。

奨励賞※氏名アルファベット順

奨励賞
Anh Doan Quoc Nguyen

「持続可能な未来のためのLED照明技術」

7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
ターゲット 7.b
氏名 Anh Doan Quoc Nguyen
所属・
役職
トンドゥックタン大学
(Ph.D., Faculty of Electrical and Electronics Engineering)
ベトナム 国旗:ベトナム
研究
テーマ
持続可能な未来のためのLED照明技術
研究概要
船舶燃料の大量消費と、旧式の集魚灯を使用することによる漁業効率の悪さは、漁業にとって長年にわたる問題と認識されています。ビントゥアン省における重要なプロジェクトで、私たちは漁業用に特化して設計された新たなLEDの活用に成功し、石油使用量の大幅な削減に貢献しています。本プロジェクト全体で、この新たなLED装置を設置した漁船の数は30隻以上にのぼり、5つの異なる漁法を採用しています。プロジェクトのデータによると、この装置を設置した漁船は、船上発電機の負荷を減らして、石油燃料を最大50%削減することに成功しました。LEDの効率の良さを知った漁師が、より優れた新しい技術を採用するようになることで、紫外線とCO2排出量の削減に貢献できます。
Isidro Antonio III Valdivia Marfori

「オープンソースの水力発電技術:フィリピンの小規模水力発電技術を無償公開」

7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
ターゲット
7.1 7.2 7.a 7.b
氏名 Isidro Antonio III Valdivia Marfori
所属・
役職
デ・ラ・サール大学
(Assistant Professor, Department of Mechanical Engineering)
フィリピン 国旗:フィリピン
研究
テーマ
オープンソースの水力発電技術:フィリピンの小規模水力発電技術を無償公開
研究概要
フィリピンでは、電気が通っていない地域がまだたくさんあります。小規模水力発電技術により、クリーンで安価な電力を農村地域に供給することができます。オープンソースの水力発電技術を使えば、小規模水力発電に必要な設備の提供が可能です。専有技術とは対照的に、オープンソース・テクノロジーは、最低限のスキルとツールさえあれば、誰でも利用できます。この技術には柔軟性があり、建設業者の技術や利用可能な資材に合わせてカスタマイズできます。オープンソースの水力発電技術は最初、複数のマイクロ水力発電所のタービン装置に導入されました。その後、この技術は改良され、価格が下がり、より広範囲に利用されるようになりました。オープンソースの水力発電技術は、SDGs目標1(貧困をなくそう)と目標7(エネルギーをみんなに そしてクリーンに)に貢献するだけでなく、エンドユーザーが自らのエネルギー需要だけでなく、他者のエネルギー需要も満たせるようにすることも目指しています。
Joey Duran Ocon

「ElectriPHIプロジェクト:フィリピンの未電化地域における電化計画」

7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
ターゲット
7.1 7.2 7.3 7.a 7.b
氏名 Joey Duran Ocon
所属・
役職
フィリピン大学ディリマン校
(Professor, Department of Chemical Engineering)
フィリピン 国旗:フィリピン
研究
テーマ
ElectriPHIプロジェクト:電力が供給されていないフィリピンの小島の電化計画
研究概要
SDGs目標7は、誰もが安価で、信頼性が高い、持続可能な形で電力を利用できるようにすることを提唱しています。しかし、世界には電気のない生活している人が約7億8900万人おり、フィリピンだけでも約470万人います。ElectriPHIプロジェクトは、電化計画ツールを開発し、研究成果を上げることで、政策立案者を支援し、民間セクターの参加を促すことを目的としています。プロジェクトの成果の1つが、Python 3で書かれた内部マイクログリッド・モデリング・ツール、ISLAです。私たちの研究のもう1つの特徴は、電力が供給されていない島で安価かつ持続可能な発電を促進するという問題に取り組むために、学際的なアプローチを取っていることです。最終的には、これらの地域でのエネルギーへのアクセスを改善し、持続可能な開発に貢献する、政策や投資の意思決定に役立つ実用的な見識を深めることを目標としています。2016年以来、私たちは島民の生活に明るい未来をもたらすべく、太陽光発電ディーゼル・バッテリーを用いたマイクログリッドを展開する民間企業とも緊密に協力しています。
Lemthong Chanphavong

「ガス化プロセスで生じる低品位燃料の燃焼を促進する効率的手法の開発」

7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
ターゲット
7.2 7.3 7.a 7.b
氏名 Lemthong Chanphavong
所属・
役職
ラオス国立大学
(Dr., Mechanical Engineering)
ラオス 国旗:ラオス
研究
テーマ
ガス化プロセスで生じる低品位燃料の燃焼を促進する効率的手法の開発
研究概要
本研究の目的は、低品位バイオマスまたは発生炉ガス(PG)燃料の予混合旋回型サイクロン燃焼のギャップを埋めることであり、この燃焼プロセスは「無炎(フレームレス)反応法」と呼ばれる最新の燃焼技術を利用しています。空気吹き バイオマス・ガス化プロセスで生成されたPG燃料は、暖房やエネルギー生産において、化石燃料や従来のバイオマス燃焼システムの代わりに使用される代替燃料です。
ガス化プロセスでPG燃料を製造する原料としてバイオマス廃棄物を利用するため、本システムは間接的に環境問題を解決することができます。したがって、廃棄物は環境に優しいエネルギーを生産するための貴重な資源とみなされます。本システムが普及すれば、SDGs目標の7、特にターゲット7.2の「再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる」 とターゲット7.3「エネルギー効率を向上させる」、ターゲット7.a「クリーンエネルギー研究へのアクセスを促進する」、ターゲット7.b「途上国におけるエネルギー技術を向上させる」に貢献できます。
Minh Thuy Le

「Greenes:環境発電ソリューションによる未来の緑化」

7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
ターゲット
7.2 7.3 7.a 7.b
氏名 Minh Thuy Le
所属・
役職
ハノイ工科大学
(Associate Professor, Department of Automation Engineering, School of Electrical and Electronic Engineering)
ベトナム 国旗:ベトナム
研究
テーマ
Greenes:環境発電ソリューションによる未来の緑化
研究概要
途上国も先進国も、予測不可能な気候変動や過剰なエネルギー需要により、深刻なエネルギー問題に直面しています。Greenesソリューションは、電磁波(GSM/3G/4G/5G/Wi-Fi)、太陽光、摩擦電気、熱電気など、環境中の様々な廃棄物エネルギー源から最大55%の変換効率でエネルギーを得ることにより、エネルギー問題に取り組むものです。また、獲得エネルギーをさらに増強するために、高周波エネルギーを太陽、機械、熱源と組み合わせる可能性を探りました。このハイブリッド型アプローチは、バッテリーを使用しない電子機器の電源として有望です。これらのソリューションは費用対効果が高く、ワイヤレス機器に簡単に組み込むことができるため、クリーンで環境に優しいエネルギー源による自己発電が可能になります。Greenesは、再生可能エネルギーの拡大とエネルギー効率の向上に取り組むSGDsの目標7に直接貢献しています。私たちは、Greenesデバイスを3つの遠隔監視システム・アプリケーションに実装することに成功しました。さらにこのプロジェクトは、環境保全、農業の発展、人間の健康増進といった問題の解決にも寄与します。
Nurzainah Ginting

「家畜と環境に優しい代替消毒剤(SDA)の開発」

1 貧困をなくそう
ターゲット
1.3 1.5
氏名 Nurzainah Ginting
所属・
役職
北スマトラ大学
(Dr., Animal Science)
インドネシア 国旗:インドネシア
研究
テーマ
家畜と環境に優しいバイオ消毒剤である代替抗菌溶液を開発する取り組み
研究概要
家畜への細菌攻撃は農家に損失を与え、環境を汚染します。こうした現象が、抗菌溶液の研究を後押しする要因となっています。偶然にも、この溶液には家畜の細菌やウイルスの発生を抑えるなど、多くの利点があることがわかっています。乳房炎、コリバシル症、口蹄疫(FMD)、疥癬などの病気から家畜を保護できるため、小規模農家はこの溶液の利用による恩恵を受けています。さらに、この溶液は住宅内部や外部の清掃にも使用でき、水質改善効果もあります。この溶液は、販売に適さない果物(できればプロテアーゼ酵素を含むものが良い)を発酵させて作りますが、女性や少女でもこの溶液を製造できるため、開発者はこの溶液を「持続可能な代替消毒剤(SDA)」と呼んでいます。SDAはSDGsの目標1、3、5、6、13に貢献できます。この溶液の作り方に関するToT(指導法研修)は、UIグリーンメトリックというネットワーキングを通じて、インドネシア全域で、オンラインで実施されています。また、ASEANのそれぞれの国に合わせたSDAも作られています。SDAが家畜、水、人間にとってより良い環境づくりに役立つことを願っています。本研究の発案者は継続して研究を行っています。また、地域貢献活動にも一貫して取り組んでいます。知的財産総局から、研究成果に関する特許を3件取得しており、他にも3件の特許を申請中です。
Phuong Hoang Vu

「パワーエレクトロニクス - 太陽光発電システムのキーテクノロジー」

7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
ターゲット
7.2 7.a 7.b
氏名 Phuong Hoang Vu
所属・
役職
ハノイ工科大学
(Associate Professor, Lecturer, Department of Automation Engineering, School of Electrical and Electronic Engineering)
ベトナム 国旗:ベトナム
研究
テーマ
パワーエレクトロニクス - 太陽光発電システムのキーテクノロジー
研究概要
太陽エネルギーは、電力不足の緩和に役立つだけでなく、温室効果ガス(GHG)排出が少ないことから、生活環境の向上にも資するグリーンエネルギーです。太陽光電源として可能性のある電源を、安定的で信頼性が高く、効率的かつ安全な方法で国の送電網に統合するだけでなく、こうした電源を独立して運用するために重要なイネーブラーの1つがパワーエレクトロニクス・コンバータです。高性能コンバータは、再生可能エネルギー源を電気機器、送電網、エネルギー貯蔵とうまく結びつけるために不可欠です。そのため、再生可能エネルギーシステムにおける高性能パワーエレクトロニクスとその応用が、大きな注目を集めています。
私たちの研究開発の目的は、太陽光発電システムだけでなく再生可能エネルギー全般に関するノウハウを修得し、その研究成果を実際のエネルギーシステムに応用することです。太陽エネルギー源の特性、高効率で持続可能なパワーエレクトロニクス・コンバータ、太陽エネルギーシステムの電力品質基準に関する研究を行っています。
系統連系および独立型の分散型太陽光発電で高い電力品質を実現するために、ZソースインバータやT型インバータなどの先進的なインバータトポロジと、先進的な制御設計について研究しています。最後に、太陽エネルギーシステム用のすべてのパワーコンバータの設計は、専用のシミュレーションソフトウェアとプロトタイプハードウェアで検証しています。研究成果は、発表した関連論文、特許、プロジェクトが検証しています。
私たちの研究開発は、SDGsの目標、特に目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」のターゲット7.2、7.a、7.bに寄与します。
Riyanarto Sarno

「INOSEC19:腋窩(わきの下)汗の臭いを用いたCovid-19スクリーニング・ツール」

1 貧困をなくそう
ターゲット
1.3 1.4 1.5
氏名 Riyanarto Sarno
所属・
役職
スラバヤ工科大学
(Professor, Head of Laboratory Intelligent Information Management, Informatics)
インドネシア 国旗:インドネシア
研究
テーマ
INOSEC19: 腋窩(わきの下)の汗の臭いでウイルス感染者(陽性)と非感染者(陰性)を判別するCovid-19スクリーニング・ツール
研究概要
インドネシアなどの国々では、新型コロナウイルス(SARS CoV-2)の蔓延を抑制するために、PCR法による新型コロナ感染症(Covid-19)検査を義務付けていますが、1回の検査費用がかなり高額であるため、中・低所得者はCovid-19検査を受ける金銭的余裕がありませんでした。
Covid-19感染者を特定するためにINOSEC19を開発しました。INOSEC19は腋窩の汗の臭いのサンプルを使ってCovid-19の陽性/陰性を判定します。特許およびその他の知的財産権をすでに取得しています。また、学会やジャーナルで論文を発表しています。
INOSEC19の社会実装は、インドネシア共和国の国防大臣、保健大臣、教育・文化・研究・技術・高等教育大臣により推進されており、インドネシアの保健施設安全センターによる較正試験に合格しています。
INOSEC19は安価かつ非侵襲的で、1人当たり約2米ドルという手ごろな価格の検査です。したがって、この技術革新は人々の健康、特に中・低所得者の健康維持に役立ちます。(SDGs目標1「貧困をなくそう」の達成)

  • 図1. 2021年1月16日、東ジャワ州のエミール・E・ダルダック副知事がINOSEC19を承認


  • 図2. 2021年1月19日、研究・技術大臣/国立研究・技術革新機構が承認


  • 図3. 2021年10月21日、インドネシア共和国教育・文化・研究・技術・高等教育大臣が視察


  • 図4. 2021年9月6日、インドネシア共和国国防大臣が視察


  • 図5. 2021年2月27日、ブディ・グナディ・サディキン保健大臣がINOSEC19を承認


  • 図6. JICAのアセアン工学系高等教育ネットワーク(AUN/SEED-Net)がINOSEC19の研究に一部資金提供


非侵襲的で低コストの医療機器の研究開発は、人々の健康を支えるために継続的に行われ、改善されるべきです。INOSEC19という革新的技術を世界に紹介してくださった日立財団に心から感謝します。
Vannak Vai

「カンボジアにおける革新的なマイクログリッドとスマートグリッドの開発」

7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
ターゲット
7.1 7.2 7.3 7.a 7.b
氏名 Vannak Vai
所属・
役職
カンボジア工科大学
(Assistant Professor, Electrical and Energy Engineering)
カンボジア 国旗:カンボジア
研究
テーマ
カンボジアにおける革新的なマイクログリッドとスマートグリッドの開発:ツール、ケーススタディ、テストベッド・プラットフォーム
研究概要
カンボジアは現在、送電網インフラの投資コストが高いため、遠隔地の農村では電力へのアクセスが十分でない状況にあります。また、化石燃料を利用して生産する大量の電力を供給する既存の伝統的な送電網が現在も稼働中で、検査を受けているため、運用コストが高く、持続不可能な状況に陥っています。電力利用の経済性、安全性、環境への配慮、持続可能性という点で、ユーザー、供給業者、利害関係者のニーズを満たすには、エンドユーザーに近い分散型エネルギー資源(DER)を管理システムと統合した配電システムやマイクログリッドを活用する、評価の高いアーキテクチャと運用を研究することが不可欠です。私たちは、AC/DC最適トポロジ、DERのホスティング容量、平常時および異常時のネットワーク再構成など、マイクログリッドとスマートグリッドについての革新的なコンセプトに関する最適化アルゴリズムを用いて、ケーススタディをいくつか開発し、テストを実施しました。革新的なマイクログリッドとスマートグリッドに関する私たちの研究開発は、DER、エネルギー効率化、管理システムを通じて、安価でクリーンなエネルギーを供給することで、ユーザー、配電業者、製造業者、利害関係者に利益をもたらします。また、開発したデジタルツールは、独自の設計システムを自動的かつ効率的に構築・評価するために役立ちます。さらにITCでは、シミュレーションと実験の両方を用いて、「革新的なマイクログリッドとスマートグリッド」の概念を学生や研究者に教えます。私たちの研究開発は、持続可能な開発目標(SDGs)の目標7の「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」だけでなく、再生可能エネルギー源の統合により、気候変動の緩和に関する教育を向上させるSDGsターゲット13.3にも対応しています。

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「日立財団アジアイノベーションアワード」事務局
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