編集後記

編集委員長
是川 夕

今後,2年間,本ジャーナルの編集長を務めることになった是川夕です。どうぞよろしくお願いします。

普段は国の研究機関で日本の将来人口推計といった人口に関する研究をしています。中でも国際的な人の移動,移民・外国人といった人たちがどういった経緯で日本に来たのか,また日本でどのように働き,暮らしているのかといったことを明らかにする移民研究を専門としています。

これまで日本では移民・外国人に関する研究はあまり行われてきませんでした。これが戦後の日本が敗戦により海外とのつながりをいったんリセットした後,再出発したことに由来する部分が大きいといえます。

しかし,1990年代以降,海外から新たに日本にやってきて,暮らすようになる人が増えています。もちろん,戦前から日本で暮らす在日コリアンの方々などについても忘れてはいけません。戦前から戦後にかけ,南米を中心に移民した日系人の人たちも同様です。

移動するということは,人間の本質的な性質です。人類はその誕生以来,周囲の環境に適応する中で地球上を大きく移動しつつ,生存圏を広げていったことはよく知られています。

現在は人の移動が特に活発になっている時代です。日本もその例外ではありません。これからの社会は人の移動によって大きく変化していくことになるでしょう。

本ジャーナルはそうした変化をただ写し取るだけではなく,むしろこうしたダイナミズムの一部となって,新たな認識や社会の変化を促す側に回れればと思っています。この新しい現象については,まだよくわかっていないことも多いです。それは人類が月や火星に行くように,全く未知のフロンティアを開拓することと同じと思っています。

本ジャーナルがそういった新たな探究の道しるべとなることを願っています。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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