Vol.1

多文化共生社会の構築とは

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01
巻頭言
内藤 理
「日立財団グローバル ソサエティ レビュー」第1号巻頭言
内藤 理(公益財団法人 日立財団 理事長)

日立財団では,学術・科学技術の振興,人づくり,多文化共生社会の構築を中核領域に据えて社会のニーズに応じた活動を行っています。

本ジャーナルの提供により,研究者や当事者を中心とした人々が,専門領域を超えた有機的な交流と相互理解を深める機会を創出し,学術分野における新たな発想や視点のひろがり,および発展への一助となる事をめざしています。こうした活動を通して,多文化共生社会の構築に貢献していければ幸いです。

本号では,「多文化共生社会の構築とは」という大きなテーマのもと,有識者や当事者の思うところや課題と対応策などを紹介して,世の中に“気づき”の輪をひろげ,このテーマの重要性と本ジャーナルを発刊する目的を発信いたします。

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02
特別寄稿 多文化共生社会の構築における課題とは
ウスビ サコ
多文化共生社会の構築における課題とは
ウスビ サコ(京都精華大学)

近年,グローバル化が進み,それによって様々な社会課題が顕著に現れています。グローバル化,都市化,市場経済主義などによって地域社会や社会基盤が共同体から集合体へと変容してきました。これから,グローバル化された社会に新たな価値を創造する必要があると思われますが,その方法論が見出せないのも事実であります。本稿では,社会の変化を見据えつつ,多文化共生社会の創造や構築に何が必要なのかを述べています。

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下地 ローレンス吉孝
「多文化共生社会の構築」を目指す前に必要なこと
下地 ローレンス吉孝(カリフォルニア大学バークレー校,ジャパニーズ・スタディーズ・センター)

日本社会にはすでに様々なルーツの人々が暮らしている。しかし,人々の認識や社会制度の中には,「われわれは単一人種である」という単一人種主義(モノ・レイシズム)が深く根付いている。さらに,排外主義やレイシズムなどが密接に絡み合う中で,心身の健康被害や制度的問題が生じている。現実を直視した多文化共生への取り組みのためには,まずすべての人の基本的人権が保障されるべきである。

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野入 直美
沖縄のアメラジアンから多文化共生を考える
野入 直美(琉球大学 人文社会学部)

ここでは,日本における「多文化共生」の地域文脈と政策文脈を踏まえて,「アメラジアンという視点」から多文化共生の課題を考察する。「ダブル」に含まれる移動と混淆,消費される「ハーフ」像をめぐる非対称性,さらに「アメラジアン」の出生の背景にある戦争と軍事を射程に含めることで,多文化共生はさらにポテンシャルを拡大することができると考えられる。

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03
座談会 多文化共生社会とは?
座談会
日本の多文化共生社会構築の現状を語る
是川 夕(編集委員長/社会学博士/国立社会保障・人口問題研究所国際関係部 部長) コチュ オヤ(編集委員/株式会社Oyraa 代表取締役社長/一般社団法人外国人雇用協議会 理事) 北村 英哉(東洋大学社会学部社会心理学科 教授) 額賀 美紗子(編集委員/東京大学大学院教育学研究科 教授)

2023年7月27日(木)、「日本の多文化共生社会構築の現状」をテーマに、是川 夕氏、北村 英哉氏、額賀 美紗子氏、コチュ オヤ氏、計4名の登壇者を迎え、座談会を開催いたしました。(於:日本工業倶楽部会館)

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04
連載 統計から読み解く移民社会①
日本は移民社会なのか?その特徴とは?
是川 夕(国立社会保障・人口問題研究所)

本コーナーでは移民社会としての日本が今どうなっているのか,そしてそれを取り巻くグローバルな情勢はどうなっているのか,といったことについて連載を通じて明らかにしていくことを目的としている。

第1回目のテーマは,日本は移民社会なのか,そしてそうだとすればその特徴は何かという点についてである。日本がすでに移民社会であるという事実はだいぶ知られるようになったといえるが,それがいかなる特徴を有するものかといった点についてはほとんど知られていない。本稿ではそういった点について,具体的なエビデンスに基づきつつ,明らかにしていきたいと思う。

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05
編集後記
是川 夕
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