2017年9月1日
日立財団では、日立製作所元副社長である故高尾直三郎氏のご遺族から寄贈いただいた基金を活用して科学技術の振興を目的とした公開セミナーを開催しています。
今回は、株式会社HIROTSUバイオサイエンスの広津 崇亮氏を講師にむかえ、「尿一滴で線虫が早期がんを嗅ぎ分ける!」をテーマに開催いたします。長年にわたり線虫の嗅覚の研究をしてこられた広津先生に、発見のエピソード、検査の仕組みや実用化の見通しなどについて、お話いただきます。
テーマ | 尿一滴で線虫が早期がんを嗅ぎ分ける! |
---|---|
講 師 | 広津 崇亮 氏 (株式会社HIROTSUバイオサイエンス 代表取締役) |
日 時 | 10月15日(日) 13:30〜15:00(開場12:50) |
会 場 | 国立科学博物館 日本館2階講堂 東京都台東区上野公園 7-20 |
定 員 | 120名(受付順) |
参加費 | 無料 |
本セミナーの受付は終了いたしました。
多数のお申し込みをいただきありがとうございました。
がんによる死亡を防ぐ最も有効な手段は早期発見である。しかし、簡便で安価かつ高精度に早期がんを検知する技術の確立は難しい。なぜなら従来の人工機器による検査では、高精度と低コストの両立が極めて困難だからである。その壁を打破する可能性を秘めたのが新コンセプト「生物診断」である。人工機器を凌駕する能力を持つ生物の嗅覚を利用し、飼育コストがかからない生物(線虫)を選択することで、高精度と低コストを両立している。さらに尿で検査できるため簡便である。線虫がん検査N-NOSEが実用化されれば、がん検診受診率の大幅な上昇が見込まれ、早期発見率の向上、がん死亡者数の減少が期待できる。
<プロフィール>
1997年、東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻修士課程修了。サントリーでの勤務を経て、1998年、ふたたび東京大学同専攻へ。博士課程で線虫の嗅覚についての研究を開始。2001年、博士号取得。京都大学を経て、2005年より九州大学大学院理学研究院。2016年、株式会社HIROTSUバイオサイエンスを設立。
研究テーマは大学院博士課程より一貫して線虫の嗅覚。2000年3月初めての論文がNature誌に掲載される。2012年7月、線虫において単一のタンパク質の活性化を可視化することに世界で初めて成功。2013年5月より、線虫ががんの匂いを嗅ぎ分けられるかについて研究を始め、2015年3月論文発表。