高齢者はどのような犯罪を行っているのか?
次は高齢者がどのような犯罪を行なっているかですが、半分以上が万引きで捕まっています。高齢者と万引きには密接な関係があり、最近各警察ではこの高齢者の万引き問題への取り組みを強化しています。私も警視庁で万引き被疑者に対する調査に関わったのですが、万引きをした人に、どうして万引きをしたのか、あるいはその人の環境や家族について調査したことがありますが、交友関係が少なく、生き甲斐がない人たちが万引きをしていることがわかりました。かつては万引きといえば少年だったのですが、今では高齢者の万引き検挙人員が上回っています。高齢者と少年の万引きは非常に対照的で、高齢者はお店で食料品を見てそれで万引きをするなど、全く計画性がありません。だから捕まりやすいとも言えますが、お店の方に聞くと、大体1,000円未満の食料品を盗んでいるそうです。ところがときどき高額な鰻とか、霜降り牛肉とか、ステーキを混ぜて万引きをする人たちがいるということです。実は捕まったときに、かなり所持金を持っている高齢者が多いと言われています。なぜ所持金を持っているのに盗んだかというと、家庭事情のいろいろなストレスを抱えていたり、夫婦関係が上手くいかなくて家の中に居場所がなく、家に帰っても奥さんが相手をしてくれない、子どもも独立して、近所の人とも付き合いがない、そういう人は世の中にも、家庭にも居場所がないので、フラッと近くのスーパーに行って気が付くと万引きをしてしまう。これに対して、少年の場合は最初から非常に計画的で、自分が万引きをしたいゲームのソフトなどのターゲットを決め、どこまででも自転車や電車で出掛けて行くそうです。高齢者はフラフラッと何となくスーパーで買いものをしているうちに、万引きをしてしまう。最近は高齢万引き犯の中には、認知症の方もいらっしゃるようですが、スーパーの店員さんは、認知症なのかどうか判断できず対処に困っているそうです。
